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フッ素について


「虫歯予防にフッ素入りの歯磨き粉を使う」ということは、広く知られていることですが、フッ素はどんな働きによって虫歯を予防してくれるのでしょうか?


フッ素とは?
フッ素元素は岩や土壌のミネラル成分であり、自然界にある元素です。またフッ化物イオンは海水を含め、すべての水中に存在します。日常生活で口にする食べ物や飲料等ほとんどすべてのものに含まれますが、その濃度は様々です。例えば緑茶には0.3~1.3ppm、りんご0.02ppm、牛肉0.07ppm、塩25.9ppmのフッ素が含まれています。「ppm」は100万分の1の割合を示す単位で、フッ素濃度1ppmとは、物質1kg中に1mgのフッ素が含まれていることになります。

歯磨き剤にはフッ化物としてフッ素が含まれています。歯磨き剤の成分表示にモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化第一スズ(SnF2)のうち、いずれかが含まれていればフッ素が含まれているということです。

虫歯はどうして出来るのか?
歯の表面はエナメル質という水晶よりも硬い組織で覆われています。この歯の表面では、常に脱灰(歯のミネラルが溶け出すこと)と再石灰化(ミネラルが取り込まれて、歯を形成すること)が繰り返されています。
この脱灰と再石灰化のバランスが取れていれば、歯は健康な状態を保つことができます。
バランスが崩れて脱灰ばかりが進んでしまうと歯が溶け出して虫歯になります。



ヒトの口の中にはミュータンス菌がいます。この菌は虫歯菌と呼ばれることもあるように虫歯の原因となる菌です。
ミュータンス菌は食べカスを栄養にして増殖して、プラーク(歯垢)となり歯の表面に付着します。そして、食物中に含まれている糖を発酵させて乳酸などの酸を生成します。この酸の影響で歯のミネラルが溶け出して脱灰が起こります。
健康な状態では、その後唾液の働きで口の中のpHが上昇して、唾液中のミネラルが再び歯に取り込まれて再石灰化が起こり、歯が修復されます。

しかし、糖分を含むものを食べる回数が増えたり、だらだらと食べていると口の中が酸性になっている時間が長くなるために再石灰化が追い付かずに虫歯ができてしまいます。


フッ素のはたらき

フッ素は歯のエナメル質を強くする働きがあります。
現在、日本で発売されている歯磨き剤の90%以上の商品にはフッ素が含まれています。
フッ素含有の歯磨き剤を効果的に使うことで、虫歯の発生や進行を抑制することができます。

①歯の再石灰化を促進する
初期の脱灰はエナメル質の表層より下の部分から始まるので、表面に穴はあきません。この時期、歯は正常のようにも見えますが、表面に白い斑点が生じたようになっています。
この初期の段階でしたら、再石灰化の働きで健康な状態に戻る可能性もあります。
フッ素は、ミネラル成分とともに歯に取り込まれて、再石灰化を促進し、歯の修復を助ける働きがあります。再石灰化した歯はフッ素濃度が高く、酸に対する抵抗性も強くなります。

②歯質の向上に役立つ
歯の表面のエナメル質はハイドロキシアパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2〕という結晶でできています。このハイドロキシアパタイトはイオン交換性があるので、ミネラル成分が歯から抜け出しやすい性質を持っています。歯からミネラル成分が抜け出ると、歯がスカスカになり、歯が溶けやすい状態となります。
ハイドロキシアパタイトがフッ素に触れると、フッ素が取り込まれてフルオロアパタイト〔Ca10(PO4)6F2〕に変化します。フルオロアパタイトは安定した構造であるために、歯質は強くなり、酸に強く虫歯になりにくい歯となります。
★歯磨き剤や洗口液など低濃度フッ素使用の場合
Ca10(PO4)6(OH)2 + 2F- → Ca10(PO4)6F2 + 2OH-
★フッ化物歯面塗布の高濃度フッ素使用の場合
Ca10(PO4)6(OH)2 + 2OF- → 10CaF2 + 6PO4 3- + 2OH-
CaF2 → Ca2 + 2F- 
生成したフッ化カルシウムから徐々に溶出したフッ素がハイドロキシアパタイトと反応

③虫歯菌の働きを弱める
フッ素は虫歯の原因となるミュータンス菌の発育を抑える抗菌作用があります。また、ミュータンス菌の出す酵素によって酸が作られる働きを阻害する作用(エノラーゼ活性)を持っています。

〈歯磨き剤の選び方〉
歯磨き剤には3つのフッ化物が使用されています。ドラッグストア等で歯磨剤を選ぶときには成分表示をみて購入することをオススメします。
フッ素成分はフッ化ナトリウム(NaF)、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化第一スズ(SnF2)といったフッ素化合物の形で配合されています。

・モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP):フッ化ナトリウムやフッ化第一スズに比べて毒性が低い
・フッ化ナトリウム(NaF):歯垢の中のフッ化物濃度を高める作用が高い
・フッ化第一スズ(SnF2) :スズイオンによる抗菌作用で、歯垢の形成や付着を抑制する

歯の表面にはフッ化ナトリウムの方が早く作用するが、歯の内部まで成分が浸透するのはモノフルオロリン酸ナトリウムであるという報告もあるようです。

それぞれのフッ化物には上記のような特徴があるようですが、この3つの有効性の違いや使い分けについては、専門家の間でも議論がなされているようです。現状では強く推奨できるフッ化物については言及されていないようです。

フッ素化合物が含有されている商品であれば効果は期待できるので、成分の違いについてはあまり気にしなくてもよいという意見もあります。歯磨剤を選ぶときに見ていただきたいところは、フッ素濃度が何ppmかというところです。

以前、日本においては市販の歯磨剤のフッ素濃度の上限が1,000ppmに設定されていました。2017年厚生労働省の承認が下りて、フッ素濃度が高くなり、上限が諸外国と同じ1,500ppmまで引き上げられました。
これにより高濃度のフッ素が含有された歯磨剤が増えてきています。
ドラッグストアで商品を選ぶときは是非、参考にしてください。

ちなみに歯科医院で行う医療用のフッ素濃度は9000ppmと高濃度のものです。
当院ではフッ化ナトリウム含有の薬剤を使用します。
歯科医院でのフッ素塗布とご自宅でのケアの併用でより高い効果が期待できます。

フッ素の安全性
飲食物等として体内に入ったフッ素の90%以上は糞や尿を中心に、残りは汗や唾液から体外に排泄されます。排泄されなかったものは血液を介して骨や歯などの硬組織へ移行します。骨などに沈着したフッ素も永久的に蓄積するのではなく、骨の代謝とともに血中に戻り、尿中に排泄されます。小児の場合は、骨や歯の形成など発育の過程で多くのフッ素を必要とするために、吸収された40%くらいが血液を介して生体利用されます。

洗口液に含まれるフッ素はお茶や紅茶に含まれるフッ素と同じものなので、安全性の面では全く心配はありません。間違ってフッ素洗口液の1回使用量の全量(5~10mL)を飲み込んでしまっても、安全な濃度に設定されています。オラブリス洗口用顆粒(フッ素洗口用剤)の説明書によると、例えば15㎏(4歳くらい)の体重の子どもの場合、洗口液を飲んでしまったとしても300mL以下の摂取量であれば、牛乳やアイスクリーム等のカルシウムを含む飲食物を与えて2~3時間様子を見ればよいとされています。無理に吐かせる必要もありません。このとき、腹痛・嘔吐・下痢などの症状が出た場合は医師の診断を受けることとなっています。
世界保健機構(WHO)や厚生労働省などの専門機関が一致して安全性や効果を認め、フッ素を用いた虫歯予防を推奨しています。

他に、慢性の歯のフッ素症を心配する声もあるようです。歯みがきの後、口をすすぐことができない、もしくはすすいでも吐き出しができない低年齢の子どもでは口腔内残留フッ素量が問題となることがあります。WHO等の専門機関では、6歳未満時のフッ化物配合歯磨き剤の使用ガイドラインを提示しています。ガイドラインでは、両親による歯磨きの実施や監督、歯磨き剤の使用量(豆粒大くらいにする)、小さな毛先の子ども用歯ブラシの使用、歯磨き剤チューブの口の縮小などが言われています。海外では、フッ素を水道水や食塩に添加して、虫歯を防ぐフロリデーションが行われているため、斑状歯のリスクも言われていますが、現在日本では実施されていません。


フッ素の使い方

フッ素は使い方によって多少なりとも予防効果に差が出てきますが、どの方法でも早く始めて、長く続けることが大切です。また、いくつかの方法を併用することでより大きな予防効果につながります。

〇フッ化物歯面塗布法
市町村の乳幼児健診時や歯科医院で歯科医師・歯科衛生士などが行います。
歯に直接フッ素を作用させる方法で、年に3~4回程度塗布を繰り返すことで虫歯予防効果が高くなります。夏休み等の長期の休みを利用して、定期的に検診に行くことをおすすめします。

〇フッ化物洗口法
フッ化ナトリウム溶液を5~10mLを口に含み、約30秒間洗口します
就寝前の歯磨き後が最も良いとされています。
開始年齢は4歳前後(うがいが上手にできるようになってから)で、まずはお水で練習してから開始しましょう。
毎日法 0.05~0.1%フッ化ナトリウム溶液を1日1回、継続して洗口する
週1回法 0.2%フッ化ナトリウム溶液を1週1回、継続して洗口する
※未就学児は毎日法が、小学生以上では週1回法及び毎日法が推奨されています。

〇フッ化物配合歯磨き剤
使用する歯磨き剤の量は、子どもは年齢×1mm程度、大人は2㎝を目安にしてください。
年齢別応用量は以下のようになります。
6か月~2歳:切った爪程度の少量
3~5歳:5mm以下
6~14歳:1cm程度
15歳以上:2㎝程度


おすすめする歯磨きの方法は

1.歯磨き剤を使用せずに歯ブラシのみで汚れを落とすように歯を磨く
2.うがいをした後に、歯の表面にフッ素を塗るつもりで歯磨き剤を使用する
3.歯磨き剤を口から吐き出す
4.少量の水で、1度だけ口をすすぐ
この後、30分~1時間くらいは飲食をしない方がより効果が高くなります。

使用する時間は寝る前がおすすめです。寝ている間は唾液が少なくなり、虫歯のできやすい環境になってしまいます。就寝前にフッ素を使用して、フッ素を口の中に長くとどめておくことで虫歯予防ができます。

適応年齢
生え始めて2~3年の歯は軟らかく、虫歯になりやすいためにフッ素の使用で強い歯に育てることが大切になります。乳歯は生後6か月位から生えはじめ、4歳頃から生えはじめる永久歯に交換されていきます。永久歯は中学校1年生くらいで生え揃うので、4歳~14、15歳くらいまでフッ化物洗口等のフッ素使用を続けると虫歯予防効果が高くなります。その後もフッ化物は生涯にわたって使用することで虫歯を予防することが期待できます。

歯科医院では小児に対してフッ素塗布を行うことが多く、歯ブラシにてプラーク(歯垢)の除去をして、研磨剤と専用のブラシで歯を研磨し、なるべく乾燥状態を保ってフッ素を歯に塗り込みます。
フッ素を塗布した後は30分ほど飲食を控えてもらうとより効果は高まります。
小さなお子さんで、動いたり、怖がるときは歯ブラシでフッ素塗布のみ行うこともできますので、歯科医院のスタッフに相談されるとよいでしょう。

 
     
     
   
 

患者様に寄り添った診療を心掛けております。特に予防歯科には力を入れており、
一生健康な歯でいられるよう、精一杯お手伝いをさせていただいております。

 
 
 
     
 
 
     
   
 

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